近年、アマニ油やココナッツオイルなど、体に良いとされる油が注目を集めています。
ギーという油も、そのうちのひとつ。
ですがギーは、動物性由来の油のため、体に悪いのではないかとのウワサも…。
この記事では、以下のことについて解説します
・なぜギーが体に悪いと言われるのか?
・ギーとバターの違い
・ギーの成分や本当の効果とメリット
・ギーのおススメな食べ方
この記事を最後まで読んで、本当のギーの効能・効果を知り、ギーに対する偏見や不安を解消してくださいね。
ギーが体に悪いと言われる理由は?
「ギーが体に悪い」というより、動物性油脂や油脂全般に対する「体に悪い」との認識から、そのように思う人が多いです。
ギーはまだ日本ではなじみのない油ですし、ギーの正しい知識を持っている人も少数派。
「ラードやマーガリンが体に悪い」というのと同じ感覚で、ギーが体に悪いと思っている人もいます。
確かに、ギーは飽和脂肪酸を多く含む油であり、摂取しすぎると肥満や高血圧につながります。
ですが飽和脂肪酸を含む油にも優れたメリットがあり、ギーはその中でも最も体に良い油とさえ言われています。
その理由を、以下でじっくり解説します。
ギーって何?
ギーは、インド発祥の油です。
5000年の歴史を持つインドの伝承医学・アーユルヴェーダでは、「活力の素」として薬と同じように考えられてきました。
このことからも、本場インドでは「体に悪い」との認識がみじんもないことがうかがえますが、その理由を以下で解説します。
グラスフェッドバターからつくられる純度の高いオイル
グラスフェッドバターとは、牧草(グラス)のみをエサ(フェッド)として食べている牛などの生乳から作られたバターのことです。
広い牧場で自由に草を食べ、自然に近い状態で育てられた牛は、ストレスフリーで健康的。
穀物を人工的に配合したエサ(グレインフェッド)で飼育した牛のミルクよりも、グラスフェッドで飼育した牛のミルクの方が、栄養価は高いです。
そんなグラスフェッドミルクから作られたグラスフェッドバターを原料とした油、それがギーなのです。
バターよりも良質の油が含まれている
ギーは、バターの余分な成分を取り除き、乳脂肪分の純度を99.8%まで高めたものです。
乳脂肪分の純度が高い分、ギーに含まれる油はバターよりも良質。
とりわけ、ギーの不飽和脂肪酸の含有量は、バターのおよそ2倍です。
ギーとバターの違い
「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」によると、バターの定義は「生乳、牛乳又は特別牛乳から得られた脂肪粒を練圧したもの」となっています。
小中学校の自由研究などでやったことがあるかもしれませんが、牛乳をペットボトルにいれ、30分以上ひたすら振り続けると、小さなツブツブが浮いてきます。
このツブツブは牛乳から分離された脂肪分であり、ツブツブだけを集めて練り上げたものがバター、というわけです。
(実際に市販されているバターは、無菌状態の工場で専用の機械を使って撹拌し練り固め「乳脂肪分80.0%以上、水分17%以下」にしています)
バターの主成分は乳脂肪ですが、たんぱく質や糖・ミネラル・水分なども含まれています。
ギーは、そこからたんぱく質などの余分な成分を取り除き、加熱処理をしてほぼ油脂だけにしたもの。
バターの乳脂肪を油として進化させたもの、ともいえます。
ギーの効果は?
牛乳から作られるギーには、飽和脂肪酸が多く含まれています。
飽和脂肪酸は人間の体にとって重要なエネルギー源。
その一方で、摂取しすぎると「血液中のLDLコレステロールが増加し、その結果、循環器疾患のリスクを増加させる」と、体に悪い効果も報告されています。
ですが、ギーに多く含まれる飽和脂肪酸のなかの中鎖脂肪酸・短鎖脂肪酸は、体のエネルギーになりやすいという性質を持っています。
なので、ギーはダイエット中のエネルギー源として使うことができるのです。
また、ギーに含まれる短鎖脂肪酸「酪酸」は、大腸の運動を促し、腸内環境を整えるという効果を発揮。
「酪酸」はギーやバター特有の脂質で、腸内粘膜の血流を増やすことで大腸の活動を支えているのです。
さらに必須脂肪酸である不飽和脂肪酸の一種・オレイン酸なども、ギーには多く含まれています。
ギーは摂りすぎさえしなければ、体に悪いことはないのです。
ギーのメリット
このように非常に優れた効果を持つギーですが、他にも次のようなメリットがあります。
油分が多いため長期保存が可能
ギーは油分以外、とりわけ腐敗しやすいたんぱく質などは取り除かれているため、基本的には室温で長期保存できます。
とはいえ湿気の多い梅雨の時期や夏場など猛暑が続く日は、開封後は念のため冷蔵庫で保存したほうが無難です。
ギーは不飽和脂肪酸を多く含むため、冷蔵庫で冷やすと固くなってしまいます。
冷蔵庫で保存する場合は、使用する前にあらかじめ常温に戻しておいたほうが良いでしょう。
乳糖不耐症でも摂取できる
ギーはバターを純度の高い油に進化させる過程で、ラクトース(乳糖)やカゼイン(たんぱく質)がほとんど取り除かれた状態となっています。
そのため、乳糖不耐症や牛乳アレルギーでも安心して摂ることができるといわれています。
ですが、ギーは牛乳を原料とするため、これらの重度のアレルギーがある場合には体に悪い場合もありえます。
ギーを食べたあと体に異変を感じたら、すぐに摂取をやめてください。
脂質がバランスよく含まれている
ギーは色々な種類の脂質がバランスよく含まれているため、特定の脂質だけを摂取しすぎるということが少ないです。
ギーに含まれる脂質の種類は、主に以下のようなものです。
飽和脂肪酸
・中鎖脂肪酸、主にココナッツオイルに含有
・長鎖脂肪酸、動物性食品に多く含有
・短鎖脂肪酸「酪酸」、主にバター・ギーに含有
不飽和脂肪酸
・オレイン酸、主にオリーブオイルに含有
・α-リノレン酸(オメガ3)、エゴマ油・アマニ油に含有
・リノール酸(オメガ6)、コーン油・ゴマ油に含有
揚げ物や炒め物に向いている
油脂を加熱していくときに煙が発生する温度を、発煙点といいます。
油の風味の低下や発火のリスクを避けるため、発煙点を超えない温度での調理が良いとされています。
ギーの発煙点は250度なので、揚げ物や炒め物にも使えます。
一般的な油の発煙点は、以下の通りです。
・アマニ油・エゴマ油 107度
・MTCオイル 150度
・オリーブオイル 160度
・ココナッツオイル・バター・ゴマ油 175度
他の油と比べても発火点が高く、加熱調理に向いていることが分かります。
ギーの適量は?1日何グラムまでならOK?
ギーの一日の適量の目安は大さじ1~2杯、およそ12~24グラムといわれています。
また、ギーを含む一日の脂質の適正範囲は、食事全体のエネルギーの20~30%、およそ40~60グラム程度です。
そもそも、ギーのエネルギー量は大さじ2杯で216キロカロリー。
ごはん茶碗一杯分(150グラム)で234キロカロリーですので、うっかり摂りすぎたら大変なことになります。
ギーを摂るときには、他の油を控えるなどの調整も必要です。
体に悪い影響を与えないよう、食べ過ぎにはくれぐれも気を付けてくださいね。
ギーのおススメな食べ方3選
このように、人間の体に良い効果をたくさんもたらすギー。
毎日の食事に、積極的に取り入れていきたいですよね。
以下、おススメの食べ方を3つ、ご紹介します。
バターコーヒー
ギーを使った、最も有名なレシピ。
海外のセレブ達が愛用しているとのことで話題になりましたが…海外のセレブと聞いたら、やっぱりマネしたくなりますよね。
作り方もいたって簡単、スプーン大さじ1杯のギーを温かいコーヒーに溶かすだけ。
腹持ちが良いと、ダイエッターにも好評です。
そのままトーストに塗る
バター感覚で、ギーをそのままトーストした食パンに塗って食べます。
バターをチーズっぽくした感じの味わい。
お好みで砂糖やシナモンをまぶしても、美味しいですよ。
オムレツにして食べる
過熱点が高く、加熱調理もOKなギーは卵料理とも相性バツグンです。
オムレツにして食べてもとっても美味。
チーズ風味がやみつきになる可能性あり、食べ過ぎ注意です。
ギーって体に悪いの?バターとの違いや効果・メリットのまとめ
ギーについてのまとめです。
・多く摂りすぎなければ、ギーは体に悪いものではありません!
・ギーはバターの進化版、乳脂肪を主とした純度の高い油です
・ギーは良質な脂質がバランスよく含まれている優秀な油。
ただし、摂りすぎには注意が必要です。
・熱にも強く、加熱調理にも向いているギーの美味しい食べ方を知り、積極的にギーを食卓に取り入れましょう!
ギーを上手に利用して、ダイエットや日々の健康づくりに、最大限に生かしてくださいね。